概要

未発表の過去作を集めて自作の模試を作るシリーズ第三弾です.

今回の模試『令和3年度私擬東工大入試』は東工大模試です.

5問構成で試験時間180分です.

問題ファイルは以下のリンクからダウンロードできます.

以下では解答例を掲載しているので,問題を解こうとしている方は見ない方が良いと思います.

目次

模試の難易度評価

本模試の大問構成,分野,配点,難易度評価は以下のようになっています.

自作東工大模試の分野・配点

  1. 複素数 (A20), 60点
  2. 微積分 (C45), 60点
  3. 整数 (B25), 60点
  4. 微積分 (B35), 60点
  5. 確率 (B25), 60点

今回は自作のため特に主観が入りやすく,難易度はあまりあてにならないことに注意してください.

2020年の難易度評価

参考用に,2020年の東工大入試の難易度評価を置いておきます.

  1. 整数 (A20), 60点
  2. 複素数 (B30), 60点
  3. 図形の論証 (C20), 60点
  4. 求積 (A20), 60点
  5. 積分漸化式・極限 (B40), 60点
難易度表記の説明 カッコ内の難易度表記はAA,A,B,C,Dの五段階による難易度評価と,演習する際の標準的な解答時間(五分刻み)です. 試験場では様々な要因により,ここに書いてあるよりも苦戦すると思います.

難易度評価は,それぞれ

  • AA:解けないと周りの受験生とかなり差がついてしまう問題
  • A:解ければとりあえず数学が足を引っ張ることはない,という難度の問題
  • B:解けると周囲に対してやや優位に立てるが,解けないとやや不利になる問題
  • C:数学が得意なら正答が狙える難度で,解けなくても困らないが,解けると大きく優位に立てる問題
  • D:難易度が高すぎて点数と釣り合わない,いわゆる「捨て」の問題

であることを大まかに表しています.

大体『大学への数学』より(受験生に)厳しい評価で,『東工大の数学20ヵ年』よりは甘い評価かなと思います. 数学が苦手な人は最低限Aの問題を確実にBの問題をできるところまで,数学が得意な人はCの問題まで完答するのが目標かなと思います. 難易度Dの問題はどんなに数学が得意な人でも部分点狙いが現実的でしょう. 個人的にはこの難易度の出題は作問者の判断ミスだと思っています.

試験全体の構成

微積$2$問,整数$1$問,複素数$1$問と,東工大入試でよく見かけるような分野構成のつもりです.

全体を通しての計算量はそう多くありませんが,第二問を中心にある程度計算量がある問題もあります.

そこまで発想力のいる問題はありませんが,後半$3$問はある程度考える必要があると思います.

模試全体の難易度

難易度や雰囲気も近づけたつもりですが,それを判断するのは解く側なのであまりコメントしないでおきます.

公開時はちょっと簡単すぎ (2020年くらい?) な気がしましたが,その後考えを改めむしろ少し難しいかもしれないと思うようになりました.

東工大入試の難易度の振れ幅は極めて大きいので,「例年の難易度」からは大きく外れていないと思います.

総評

第一問・第三問が易しめなのでまずは先に解いて確保し,その後第二問前半,第四問,第五問のうちできるところを確保,最後に第二問を時間が終わるまでやってみるという感じでしょうか.

東工大入試は問題の重厚さと比べ,解答スペースがあまり広くないので,今回もそれに合わせて論理的に重要なところを抑えつつ,ある程度簡潔に書くと良いと思います.

各大問の解答の方針と講評

大問ごとの概要です.

第一問 複素数 (A20), 60点

第一問の解答

概要 (第一問)

とある有名な定理の証明問題です.

2018年の北大後期入試第二問の前半とほぼ同様の出題です.

作問の労を惜しんだという批判は甘んじて受けましょう.

方針 (第一問)

(1): $A_1$を求めれば,$A_2$もついでに出てきます.

複素数の積が回転に対応していることを活かしましょう.

(2): 正三角形を「夾角が$\frac{\pi}{3}$の二等辺三角形」とみることがポイントです.

そう見えれば,複素数の乗法・商法の意味を考えれば容易に示せると思います.

講評 (第一問)

第一問なので比較的易しめの問題です.

誘導も付けたのでほとんど一本道で解けると思います.

時間がかかってもあまり問題はないですが,正答はしたいところです.

第二問 微積分 ((1):A15, (2):C30), 60点

第二問の解答

概要 (第二問)

(1)はやっぱり有名な曲線の図示問題ですが,どちらかといえばマイナーな媒介変数表示なので,見たことはない人も多いと思います.

(2)は計算問題ですが,「ただの」かどうかは知りません.

方針 (第二問)

(1)は指示に従えば解けます.

問題は(2)ですが,(1)の結果から立式した後,置換積分することまでは自然に思いつくはずです.

問題はその後ですが,有理関数の積分の王道に従って部分分数分解するか,もう一回置換積分をして$\frac{1}{\cos^n x}$の積分に帰着させるかのどちらかでやるのが思いつきやすいでしょうか.

解答例は後者でやっていますが,私が計算を苦手にしていることもあってあまりすっきりとしていません.

講評 (第二問)

解答例の公開前に難易度を口にしたくなかったというだけで,自作なので当然「ただの計算問題」かどうかはさすがに分かっています.

かなり大変です.

(2)の途中まではやることが分かりきっていますが,その後の計算量はかなり多く,見通しが立ちにくい計算を進めることになります.

時間をかければ解けるタイプの問題ではあるので,最後の計算は他の問題を解いてから手を付けるので良いと思います.

計算量が多く,詳細を書いていたら解答用紙にとても収まりきらないので,総評でも書きましたが,ただ代入,約分,変数を整理するだけのような論理的には重要でない部分はカットして,論証の主要な部分を書くのが良いでしょう.

第三問 整数 (B25), 60点

第三問の解答

概要 (第三問)

便宜上整数に分類していますが,有理数の問題です.

方針 (第三問)

とりあえず有理点に文字を置いて式を連立しましょう.

すると連立方程式が解けるので,自然と示せます.

講評 (第三問)

有理数同士の加減乗除は有理数になる,と言うのがポイントです.

そう難しくはないと思いますが,方針を思いつくのに苦戦することはあるかもしれません.

ところで,この問題は連立一次方程式に帰着されるので, (大学範囲の) 線形代数の知見を活用することもでき,$a, b, c$を具体的に求めずに証明可能だったりします.

線形代数を既習の方はやってみると面白いかもしれません.

当ブログでも後日別解として紹介することも考えています.

ちなみに,代数の言葉で言えば,本問の鍵は「$\mathbb{Q}$は体である」ということになります.

作った当時はあまり意識していませんでしたが.

第四問 微積分 (C35), 60点

第四問の解答

概要 (第四問)

微積の問題二問目です.

(2)で考えている定積分は楕円を折り返したときの共通部分の面積ですね.

方針 (第四問)

(1): $C_2$は$C_1$を$2\alpha$だけ回転させた図形になることがポイントです.

全体的に「角」が多用されているので,極座標のように考えると見通しが立ちやすいでしょう.

(2): (1)の誘導があるのでそう難しくはないと思います.

積分区間に$\alpha$を持っていけば,簡単に$\alpha$で微分できます.

講評 (第四問)

図形的に捉えられないと,(1)の計算量がかなり増えそうです.

また,例のごとく解答スペースの問題があるので,そこまで詳細にやらなくても,図形的に考察できれば十分な気もします.

第五問 確率 (B25), 60点

第五問の解答

概要 (第五問)

誤植があって,規則の$A, B, C$はそれぞれ$O, A, B$の間違いです.

確率の問題です.

この${ X_n }$によってとある図形が作図できます.

方針 (第五問)

とりあえず実験してみて,動きを追えればよいと思います.

解答用紙の大きさもあるので,適宜図示しながらざっくりと説明できれば容認されるのではないでしょうか.

厳密に示すなら解答例のように領域に名前を付けて証明していくか,ベクトルで求めるのが有力だと思います.

講評 (第五問)

解答例はまじめに示すこともできるよ,というもので,あれを解答欄に書くのは無理があることには注意してください.

解答例は問題の要求に対して過剰であまり気に入らないのであとで別解も出すつもりです.

そこまで難しい問題ではないと思っているのですが,特に作問者と解答者で感じ方が違いそうな問題なので,実は難しいかもしれません.

点がどのように変化していくのかを上手く追えると,簡単に解答できると思うので,それができるかが鍵となりそうです.

ちなみに,この操作によってフラクタル図形である「シェルピンスキーのガスケット」を近似的に作図できます.

解答例はフラクタル図形ができる様子まで考えているので,本問に対して過剰な記述になっているわけです.

独り言

今回は結構過去作を使えていて,後半3問はリライトはしていますが何年も前に作った未公開問題です.

次回はどこの大学の入試も模さない,「無冠模試」の予定です.

京大理学部特色と東工大一般の中間くらいの難易度の問題群 (5問,240分くらい?) を予定しています.

多分9月上旬に公開しますが,第三週の週末になる可能性もあるので,決まり次第お伝えします.

追記:次の自作模試 (というより問題セット) は9/11に公開予定です.

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過去の自作模試の問題・解答です.

京大模試サンプル (没問題集)

令和3年度私擬京大入試

令和3年度後期私擬京大入試

令和3年度無冠模試

このブログの全記事の一覧を用意しました.年度別に整理してあります.

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